【新蒸留所】飛騨高山蒸留所、2023年稼働開始予定

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飛騨高山蒸溜所

岐阜県高山市上三之町で300年以上の歴史を刻む舩坂酒造店は、高山市高根町に、岐阜県内初のウイスキー蒸留所「飛騨高山蒸留所」を、2023年稼働開始を目指し、建設予定です。

1.舩坂酒造店

社名 有限会社舩坂酒造店
所在地 〒506-0846
岐阜県高山市上三之町105番地
アクセス JR高山駅より徒歩約11分
創業 1703年04月01日

施設内食事所「味の与平」 引用:船坂酒造店公式HP

舩坂酒造店は、江戸時代から続く老舗の酒造です。江戸時代末期に「大文屋」として酒造りをスタート。観光地「飛騨高山」のメインストリート、「古い町並み」に母屋を構え、国内外問わず多くの方が訪れています。

酒の卸、販売だけに留まらず、観光品土産、枡酒を楽しめる直売小売店、飛騨と言えば必ず食べないと後悔する、飛騨牛等と一緒に日本酒を楽しめる食事処を併設。「造る」「味わう」「買う」の3拍子揃った施設になっています。

舩坂酒造の酒は台湾、アメリカをはじめとする世界各国に販売しており、「大酒だいしゅ飛騨高山から世界を酔わす」をキャッチフレーズに、世界に飛騨高山をPR。飛騨高山を盛り上げるアンバサダーとして積極的に活動しています。

2.飛騨高山蒸留所

蒸留器「ZEMON(ゼモン)」

2007年に校区がダム湖で水没、及び過疎化のため児童数の減少に伴い廃校になった高山市立高根小学校の校舎を活用し、ウイスキー蒸留所として新たに命を吹き込みます。

総事業費は3億円。十六銀行と高山信用金庫がそれぞれ発行するSDGs私募債で資金調達。発行手数料の一部を指定先に寄付する仕組みで、高根地域の子どもが通う朝日小、中学校や、旧高根小学校の不動産賃貸借契約を結んだ高山市に寄せます。

2022年3月下旬からは、クラウドファンディングサイト「マクアケ」にて、目標金額1千万円の支援を募ります。

飛騨蒸留所建設地の高根小学校跡地の標高は900メートル近く。山々から湧き出る水と、年間を通じて気温の低いこの地はウイスキー造りに適した地と言えます。

富山県の若鶴酒造が開発した銅と錫を梵鐘の製造技術で作り出したポットスチル「ZEMON」を使用し、シングルモルトウイスキーを製造予定。体育館を蒸留所、校舎を貯蔵庫として使用します。また、校舎内にはウイスキー造りを学べる施設も併設予定。

舩坂酒造店の有巣弘城社長は「冬に日本酒、春から秋にかけてウイスキーを造ることになり、蔵人の雇用にもプラスになる」「旧学校施設に新たな命を吹き込み、観光や雇用につながる施設ができるのは、過疎に悩む地域の希望になる」と語ります。

2022年4月下旬に高根小学校の修繕に着工、2023年4月に稼働開始を予定。販売開始は2026年4月以降。

3.考察

広い小学校の校舎ということですので、見学やセミナーだけでなく、試飲可能なバー、レストラン、ギフトショップの増設もあるのではないかと考察しています。小学校の校舎を利用した蒸留所の見学と飲酒。童心を思い出しつつも大人の特権の飲酒を行えることはまさに大人と子供のいいとこどり。とてもワクワクしてしまいます。

酒造メーカーのウイスキー参入が増えつつある昨今。酒造ごとの技術やノウハウを活かした個性的でこだわりのあるウイスキーが増えています。今現在蒸留を終え、貯蔵庫で大切に大切に熟成されている原酒たちや、今まさにこれから産声を上げようとしている原酒たち。次から次へと新しいウイスキーに出会えるのは、喜びでしかありません。

様々な思いが詰まって生まれたウイスキー達は、私たちを飽きさせませんね。

■その他、日本のウイスキー蒸留所についてはこちらも是非ご覧ください。

日本のウイスキー蒸留所一覧(2024年5月更新・全106ヶ所)
2024年5月更新、最新のジャパニーズウィスキー蒸留所一覧、山崎蒸留所、白州蒸留所、余市蒸留所、宮城峡蒸留所、クラフト蒸留所の秩父蒸留所、厚岸蒸留所、ガイアフロー静岡蒸留所、マルス信州蒸留所、マルス津貫蒸留所、三郎丸蒸留所、安積蒸留所など全103ヵ所を一覧で総まとめ!
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最後に:ジャパニーズウイスキーのおすすめ書籍

世界的なトレンドを巻き起こしている「ジャパニーズウイスキー」の事をもっと知りたい、もっと勉強したいという方は、是非こちらの書籍をおすすめいたします。

(1).Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.46 2024年10月号

【巻頭特集】
「新アイリッシュ・ルネッサンス[第1弾]」
【第2特集】
「ガロア的 東京のバー、パブ巡り」
【連載】
「ジャパニーズクラフトの開拓者たち」
前号からスタートしたこの連載。第2回では厚岸蒸溜所の樋田恵一氏を編集長がインタビューします。

(2).ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

世界的にも有名なウイスキー評論家で、ウイスキー文化研究所代表 土屋守先生の著書「ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー」です。
ウイスキーの基礎知識、日本へのウイスキーの伝来、ジャパニーズウイスキーの誕生、広告戦略とジャパニーズウイスキーの盛隆、そして、現在のクラフト蒸留所の勃興まで。日本のウイスキーの事が非常にわかりやすくまとめられた一冊。

(3).ウイスキーと私(竹鶴政孝)

日本でのウイスキー醸造に人生を捧げた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。ただひたすらにウイスキーを愛した男が自らを語った自伝の改訂復刻版。若き日、単身スコットランドに留学し、幾多の苦難を乗り越えてジャパニーズ・ウイスキーを完成させるまでの日々や、伴侶となるリタのことなどが鮮やかに描かれる。

(4).新世代蒸留所からの挑戦状

2019年発売。世界に空前のウイスキーブームが到来しているいま、クラフト蒸留所の経営者たちは何を考え、どんな想いでウイスキー造りに挑んだのか。日本でクラフト蒸留所が誕生するきっかけを作った、イチローズ・モルトで有名なベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏をはじめとする、13人のクラフト蒸留所の経営者たちが世界に挑む姿を綴った1冊。

(5).ウイスキーライジング

2016年にアメリカで出版された『Whisky Risng』の日本語版であり、内容も大幅にアップデート。ジャパニーズ・ウイスキーの歴史が詳細に記述されているだけでなく、近年、創設がつづくクラフト蒸溜所を含む、日本の全蒸溜所に関するデータも掲載。そのほかにも、今まで発売された伝説的なボトルの解説や、ジャパニーズ・ウイスキーが飲めるバーなども掲載されています。

(6).ウイスキーと風の味

1969年にニッカウヰスキーに入社した、三代目マスターブレンダーの佐藤茂夫氏の著書。
『ピュアモルト』『ブラックニッカクリア』『フロム・ザ・バレル』の生みの親でもあり、なかでも『シングルモルト余市1987』はウイスキーの国際的コンペティションWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)にて「ワールド・ベスト・シングルモルト」を受賞。
竹鶴政孝竹鶴威の意志を引き継いだブレンダー界のレジェンドが語る今昔。

この記事を書いた人
新海 博之

1981年7月17日 北海道北広島市出身
大学卒業後、NTTデータカスタマサービス㈱へ新卒入社。
2010年「麻布十番BAR新海」を開業 → 2016年、名物「薬膳カレー」を開発 → 2018年「虎ノ門BAR新海」、2019年には「芝大門BAR新海」を開業 → 2020年 ウェブメディア「Japanese Whisky Dictionary」をスタート。
バーテンダーの私達だから出来る事として、ジャパニーズウイスキーの魅力を日々発信する。

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